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初めての家づくりに失敗しないための5つのステップ その5



 
「初めての家づくりで失敗しないための5つのステップ」
今回がいよいよ最後の「契約」です。
契約も大きく分けると次の3つの段階にわかれます。

  1. 土地契約
  2. 設計契約
  3. 建築請負契約

それではまずは土地契約からお話いたします。

土地の契約

ステップ4までで、時期、予算、建築先(工務店)を選び、土地の決定まで行いました。
ここだ!っていう土地が決まったらまずは「買付証明書」を送付しましょうというお話をしました。
 

買付証明書(不動産購入申込書)

土地の買付証明書は不動産購入申込書とも言いますが、これは契約に至る前段階の買主が売主に意思表示を示す、メモのようなものです。
申し込んだからと言って法的な拘束力はありません。
違約金も発生しませんし、申込金も発生しません。
(業者によっては数万円を受け取る場合もあるようですが、キャンセルの時の返金に関しては口頭でなく書面で書かれているか確認しておいた方がよいです)
だからといって、むやみにキャンセルしたり、本当に買うつもりもないのに申込書を送るのは相手にも仲介業者にも迷惑をかけるのでマナーを守ることは必要です。
買付証明書には決まった書式はありませんがおおむね、次の項目がかかれる場合が多いです。

  • 売主名(ただ単に売主様と書かれている場合も)
  • 申し込み日付
  • 物件の所在地、面積(実測か公簿か)
  • 支払い条件(契約時の手付金額)
  • 契約希望日
  • 契約希望場所
  • 引渡希望日
  • 買付証明書の有効期限
  • 買付者の住所氏名
  • 媒介業者の住所氏名

契約希望日は売主側はできるだけ早くを希望されますので数日から1週間以内を言われる場合が多いです。
買う方としてはそれまでに土地の調査や余分な費用が掛からないかなど時間が欲しいところですが伸ばせても1カ月ぐらい。
あまり先の契約だと、それまでに他から申し込みがあったらそちらに、なんて言われてしまいます。
この辺りは交渉です。
 

重要事項説明書の交付

土地売買契約前に取り交わす重要事項説明書(抜粋)

土地売買契約前に取り交わす重要事項説明書(抜粋)

 
買い付け申し込みが無事相手にも受領され、契約日時や場所、手付金額などもはっきりしたらいよいよ契約ですが、その前に、「重要事項説明」という段階があります。
これは宅建業法でも厳密に決められており、この手順を省く取引は違法として仲介業者は罰せられます。
説明する項目も法規で厳密に決まっています。
本来は、契約日の前に重要事項説明を行って、異議があれば申し出て修正してもらう事が望ましいのですが、多くの業者は契約日当日に契約前のわずかな時間でしてしまいがちです。
その時に初めて重要事項説明書を見るようであれば、疑問があってもそのまま契約に、なんてことになりかねません。
少なくとも、事前にファックスなどで送ってもらい、一緒に土地探しをした工務店の担当者(できれば宅建士の資格を持っている人)にチェックしてもらう方が良いでしょう。
特にローン特約や地中埋設物の処理は要注意です。隣地に家が建っていて、樹木や建物の一部が越境している場合、境界が越境している場合の対応も引渡までに買主責任でするのか、明確にしておかないと後後トラブルのもとになりがちです。
また古家が建っている場合は内部に多くの残置物がありますが、これが残っている場合と残っていない場合では建物解体費に大きく差が出てきます。
空き地の場合でも、草が生い茂っている場合、整地費用として案外費用が掛かる(草を刈っても土のついている根などは引き取ってくれません)ので、どういう状態で引き渡されるのかの確認も大切です。
これらも含め、各項目の内容をチェックします。
ちなみに、重要事項説明は宅建士の資格を持っている人間が行わないといけません。宅建士の資格者票を提示してから説明することが法律によって義務付けされていますので、しっかりと確認してください。
重要事項説明が終われば、確かに聞きましたという印に、重要事項説明書に記名捺印をいたします。これをもって、重要事項説明書の内容をあなたはすべて確認し、納得しましたということになります。
 

土地の売買契約の締結

土地売買契約書のひな型(実測用、一部抜粋)

土地売買契約書のひな型(実測用、一部抜粋)

重要事項説明が終わると、いよいよ土地の売買契約に移ります。契約書の内容は先ほどの「重要事項説明書」に書かれている内容と同じになります。
手付金をその場で支払うことになりますがその金額は土地の金額の10%程度が多く、具体的な額は双方話し合って決めます。
最大でも20%を超えないのがほとんどです。(手付金保全措置が業者側に必要になるため)
契約が終わると、買い手側の方は銀行ローンの土地融資の申し込みを行います。
多くの場合はこれに先立ち銀行の事前審査を経ているので融資は問題ないはずなのですが、事前審査からローンの本申し込みまでの間に買い手側の経済条件が変わる(勤務先が変わったり、新たなローンが増えたなど)と、ローンが下りない時があります。
この時に土地の売買契約にローン特約を付けておけば手付金を没収されずに土地の契約をキャンセルすることができます。
なお、重要事項説明、契約を行う場所は売買を仲介する不動産業者の事業所(事務所)で行われます。

土地の決済(引渡)

いよいよ、土地の所有権が買主に引き渡される決済日です。重要事項説明と契約は不動産業者の事務所で行いましたが、決済は土地も住宅ローンで組む場合、融資が実行される銀行で行うことが多いようです。
土地の支払いを住宅ローンで行う場合は土地に住宅ローンを融資する銀行が抵当権を設定しますから、その手続きに司法書士も同席して行います。
司法書士は銀行が指定してくる場合と、買主が自由に探してきても良い場合とがあります。
ローンが銀行から買主さんの口座に振り込まれ、買主さんの口座から売主の口座に土地代金が振り込まれます。
不動産業者には仲介手数料、その他の清算費用(固定資産税の日割り分など)を現金で支払い、司法書士さんにもその場で現金で土地の登記費用、抵当権設定費用などを支払います。
これで、晴れて土地が買主さんのものになります。
 
 

設計契約

重要事項説明


 
建物本体の設計や請負工事の契約は工務店さんによって進め方が多少違います。
設計契約を特に結ばず、請負契約の一部に含むところもあれば、最初に設計契約、その後、建築請負契約をと2段階に分けて進む場合もあります。
ここでは当社の場合に沿ってお話していきます。
当社は設計事務所でもあるので「小規模建築物設計施工一括用設計合意書」を使用しています。
土地取引と同じく、ここでも合意書を取り交わす前に重要事項説明が求められています。
土地取引の場合は宅建士票を提示して説明しないといけませんでしたが、設計契約時の重要事項説明書は建築士が建築士免許を提示して行います。
 

設計合意書

 

 
設計の重要事項説明が終わった後、設計契約(ここでは設計合意書)の締結になります。
契約書の記載内容は先ほどの重要事項説明で会った内容とほぼ同じになります。
契約金は最初に一部支払い、設計終了時(多くは確認申請許可時)に残金を支払います。
また設計監理(建物の工事が設計図書通りに正しく行われているかを確認する業務)に関する費用も定められている場合は工事完了時に設計監理費の支払いも行われます。
 

24条書面


設計契約締結後、その内容を確認する「建築士法24条書面」が契約した設計士より交付されます。
 
これらの建築設計に係る契約手続きを終え、ようやく設計の段階に入ります。
設計の打ち合わせを進めていくとどうしてもいろいろなオプションや仕様が増えていき予算オーバーになりがち。
当初想定していた予算に収めるために理想と現実のギャップに悩む、一番苦労する段階です。
なんとか、予算内に設計、仕様も収まり、建築工事の金額が確定したところで建築請負契約となります。
 
 

建築請負契約

 

設計が完了して、建築工事の実施予算も確定するといよいよ、建築請負契約です。
気になる工事代金の支払いのタイミングですが、注文住宅の場合は工事中の中間金が必要になることが多いです。(工務店さんによって異なります)
一例をあげますと

  • 工事開始時 着手金
  • 上棟時   中間金
  • 外壁完成時 中間金
  • 建物完成時 残金

となるところもあります。
自己資金が十分でなく、建設資金の多くを住宅ローンで賄っている場合、住宅ローンは建物完成時にしか支払われませんので中間金の支払いに回す資金が足りなくなってきます。
住宅ローンの中にはそのような場合の「つなぎ融資」に応じてくれるところもあります。
ご自分の選んだ工務店が中間金が必要なところである場合は、住宅ローンを選ぶ際に「つなぎ融資」が可能なところかどうかを注意して選びましょう。
 
これで家づくりに係る主な「契約」の流れを説明させていただきました。
一口に契約といっても様々なものがあり、それぞれ注意する事柄があるのがお分かりいただけたのではないでしょうか。
多くの方が初めての経験である「家づくり」
失敗しない家づくりを実現するためにもこれらのポイントを踏まえて頂ければ幸いに思います。
5回にわたってお話させていただいた内容は個別「家づくりセミナー」でも相談される方の事例に即した形でお話させていただいております。
家づくりを始めるにあたって何から進めていいかわからない、わからないことが多くて不安、という方には一度お話を聞かれることをおススメいたします。
それでは、ここまでお読みいただいてありがとうございました。


 

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