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あなたにとって『家』ってなんですか? ~2~


僕が子供のころ遊び場は父が経営していたソファ工場だった。
大阪市内の生野区にあったその工場の庭にはソファのフレームとなる原木が井桁に高く積まれ
工場の中はおがくずの匂いと膠(にかわ)の湯煎の音にあふれていた。
天王寺区の今の市大病院の裏手には祖父が戦後すぐから営んでいたソファのフレーム工場もあった。
根っからの職人気質で寡黙な祖父だった。
たまに遊びに行くとソファのフレームとなる原木に赤と青の2色平鉛筆で木取りをしてた。
建築の学校を出て就職した都内の設計事務所では、ある商社の会長の別荘を担当した。
現場では引渡直前に完成した住宅に泊まり込みで掃除を行った。
巾広の無垢の杉板を貼ったリビングと漆喰で仕上げた壁。
大磯の小高い丘に建つその家には眼下の海から潮の香りが届いていた。
深呼吸をして木の気持ちのいい匂いをいっぱい嗅いだ。
床に寝転がり、天井を眺めていると柱か梁がピシッと音を立てて割れた。
木が生きている。と思った。
ずっとずっと時間がたって、実家が経営していた家具店に戻った僕が売り場で感じたのはとてつもない刺激臭だった。
そのころにはシックハウスが問題になっていて様々なハウスメーカー「健康住宅」に取り組み始めたころだった。
そんな頃ですら、施工途中のある現場に行くとその匂いに頭が痛くなり3日ほど風邪の症状がでてしまった。
家に求められている大切な機能の一つはまちがいなくシェルターとしてそこに住む人を守ることだ。
守り方には様々な方法がある。
どんなに強い地震が来ても倒れずに踏ん張る
ある程度の長期間の使用になっても劣化せずに耐久性がある
中に住む人が年老いても不便を感じずに暮らせる工夫がある
寒い冬暑い夏も過大なエネルギー消費に頼ることなく気持ちよく過ごせる。
これらはすでに法制化もされ、等級制度も普及し様々な住宅メーカー、工務店も取り組んでいる。
いわばすでにこれらはできて当たり前のことがらである。
家は性能が良くて当たり前なのだ。
それらをすべて満たしたうえでなおかつ何が大切なのか。
僕が考える家って何なんだろう。
それに気づかさせてくれた一枚の写真がある。
今の会社を設立して初めて取り組んだ新築現場。
お施主さんの子供さんがパインの床の上でごろ寝をしていた。
子供は正直だ。
嫌なことはいやといい、嫌なことはしない。
ごろんとねころんでも気持ちいい そんな床がいい。
裸足であるいてもすべすべして気持ちいい そんな床がいい。
深呼吸しても有機溶剤の嫌な臭いがしない、木のよいにおいがする。
そんな家に入れる家具なら同じように接着剤に匂いはさせたくない。
素手で触ってすべすべして、動いたり多少反ったりはするけれど
傷がついても味になって手入れをしながら長く使える家具こそがそんな家にふさわしい。
僕にとって、家と家具の間には境界がなく、同じコンセプトで作られるべきものだ。
<続く>

天然木オイル仕上げが気持ちいい子供たち | 大阪で天然木のオーダー家具をお探しならリーフ

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