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家具の地震対策
「家具から始める家づくり」リーフの猪倉です。
23年前の今日、1月17日、阪神淡路大震災が発生いたしました。
学生時代、神戸市灘区で過ごしていた私にはとても他人事ではなく、震災のわずか3週間ほど前に、六甲の昔のバイト先での忘年会の往復に通った阪神高速湾岸線で橋が落下しているのを見て、身震いをいたしました。
震災発生後、2週間ほどたった時に、学生時代の下宿先のあった阪急六甲近くで避難所とあんっていた小学校にボランティアに通いました。
大阪の家具関係の仲間に声を掛け、配送用のトラックを運転していき、被災家屋から家具を引き出しては仮設住宅やトランクルームに運んでいました。
当時は、大きな家具(タンスや食器棚)が転倒し、その下敷きになって亡くなられた方や、玄関先までの逃げ場をふさぎ避難に時間がかかった事例が多くありました。
その後も日本では何度も大きな震災に見舞われています。
家具も、だんだんと震災対策として金具や置き方の工夫など様々な対策が取れれるようになってきました。
阪神淡路大震災から23年目の今日、改めて家具の地震対策についてまとめてみたいと思います。
簡便な順にまとめていきます。
家具の地震対策(簡便な順に)
1.後傾して設置する
一番簡単な対策がこちら。
家具を設置するときに前の方にベニヤ板などの敷板を2,3枚重ねておくと、家具が後ろに傾き家具の上部で壁と接します。
こうしておくことで多少の揺れでも家具のぐらつきがかなり改善されます。
多くの住宅は床と壁との間に巾木と呼ばれる厚み1cm程度の部材があるので、
垂直に立てようとすると壁との間に隙間ができてしまいます。
通風の事を考えればそれも良いのですが、戸建てであれマンションであれ床は多少の傾きがあり、そのまま家具を床に置いたからと言って垂直に設置されているとは限りません。
最悪の場合、前倒れ気味に設置されている場合もあるのです。
このような状態では少しの揺れでも不安定になってしまいます。
ベニヤ板がなければ新聞紙や雑誌などでも代用できます。
2.揺れ止めマットを敷く
ホームセンターなどで「耐震マット」として販売されているものです。
粘着性があり、多少の揺れでも家具が床から離れないようになっています。
テレビや冷蔵庫などの重量物にも有効です。
(私の知り合いは阪神淡路大震災のとき、6帖の部屋の片方に置いてあったテレビが反対側まで飛んで行ったそうです。体に当たっていたら大変なことになっているところでした)
ただし、最近の住宅に多い、シート張りのフローリング材だと、剥がすときにシートがはがれてしまうこともあるので、貼り付ける部分の素材に注意が必要です。
3.耐震ラッチをつける
食器棚や吊戸棚から食器が飛び出して、人に当たる、通路をふさぐ、と言った被害も多くありました。
そういう時に有効なのがこの耐震ラッチです。
扉側と本体側に取り付け、揺れをかんじると自動的に爪が下りて扉が開かなくなります。
このパーツの製造元はムラコシ精工さんが有名。
多くの種類が紹介され、ホームページからも購入することができます。
4.隙間を箱で埋める
こちらも、簡単な方法です。
地震などで家具が倒れるときは家具の前縁を支点として前に回転してきます。
家具と天井との隙間がない状態にしてしまえば、回転の時に上部に移動する余地がなくなり、天井につかえてしまうので転倒を防ぐことができます。
ただし、食器棚によくみられるように上台と下台が分かれていて、重ね置きしているタイプだと上下連結金具を用いて離れないようにしておく必要があります。
この方法はタンスや、食器棚など、背の高い家具で、天井との隙間が50~60㎝ある場合に使えます。
空き段ボールなどを加工して家具と天井との合間をちょうどふさぐぐらいの箱を作り、隙間に差し込みます。
オーダーで木製の箱を作っても同じ効果がありますが、コストはかなりかかってしまいます。
段ボール箱の中には使わない衣類などを詰めておくと、万が一、落ちてきたときも安全ですし、収納スペースとしても有効に使えます。
5.突っ張りポールを使用する
よく見られるタイプがこちら。
ホームセンターなどでも良く販売されていると思いますので、詳細説明は省きますが、畳の部屋ですと家具の自重で畳が沈み込み、気が付いたら全然突っ張りが効いていなかった、なんていうこともあるので注意が必要です。
6.壁面に固定する(直接止める場合)
持ち家などで、壁にビスなどを打ってもいい場合にこちらの方法が使えます。
木造の場合は柱や胴縁、間柱と言った壁の奥にあるビスの止まる箇所をまず調べる必要があります。
(建築図面などをみると記入されている場合も)
石膏ボードなどにアンカーを使う方法もありますが、かなり耐力は落ちてしまいます。
また、家具の背板も通常は2,3ミリの厚みの合板である場合が多いので、裏打ちの桟木をあらかじめつけておかないと効果がありません。
7.壁面に固定する(金具使用の場合)
いわゆる、耐震金具として、販売されているものもあれば、ホームセンターによくある金属製のL型アングルでも十分です。
ポイントは家具の天板に金具を固定するときにちゃんと下地の入っているところにビスを打つこと。
天板の多くはフラッシュ構造と言って周辺部には心材が入っていますが、真ん中に近い方は空洞なのでビスが効きません。
また、壁に固定する箇所も6と同じで、下地の入っている場所を探して取付ける必要があります。
8.設置場所を変える(ウォークインクローゼット内)
もし、リノベーションやリフォームで間取りを変えるチャンスがあればこれがおススメです。
タンスなどの背の高い家具は3畳ほどのウォークインクローゼットを造れば効率的に収納することができます。
寝室に背の高い家具がないだけでもかなり安心できます。
過去に参考になるブログも書いているのでこちらもご覧ください。
9.造作家具に変える
こちらも、新築やリフォーム、リノベーション時になることが多いですが、既存のお住まいの中でも可能です。
収納系家具に多い背の高い家具をすべて壁面に固定式の造作家具にしてしまうもの。
いわゆる置き家具はソファやダイニングテーブル、チェアぐらいにして置けば地震時の安全度は費用に増します。
弊社でよく提案する食器棚の代わりのキッチンバックキャビネットもデザイン性だけでなく、耐震的にも有効です。
テレビボードも壁面タイプにすることで耐震と収納力アップにつながります。
10.まとめ
家具の耐震対策と言ってもいろいろな方法があります。
まずはすぐに取り組めるところから徐々に始めることが大切だと思います。
家具の移動や、新しく家具を購入したときなど、ちょっとした知識があれば安全性は何倍も高まります。
地震のことが話題に上りやすいこの時期、改めてお部屋の家具の状態を確認されてはいかがでしょうか。
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株式会社 リーフ 代表取締役 猪倉 厚
1級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
Facebook https://www.facebook.com/atsushi.ikura
株式会社リーフ
(シャルドネ大阪南港・アールプラスハウス大阪南港)
1級建築士事務所 大阪府知事(ロ)第22510号
宅地建物取引業 大阪府知事(1)第56790号
建設業 大阪府知事(般-25)第140355号
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