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小善は大悪に似たり



今日のブログは普段とは少し毛色が違って経営のお話。
昼食をとっていると長年付き合いのある経営者仲間から電話がありました。
食事を済ませてから折り返しかけ、彼の悩みについて少しばかり話を聞いていました。
悩みとは「自分の思い通りにスタッフが動いてくれない時にきちんと叱れるか」ということでした。
こまかい話は省略いたしますが、自分の目の届かないところに支店を出した彼が、そこのスタッフとのコミュニケーションに苦労しているということでした。
「最近は求人募集をかけても本当に人が集まらない。慢性的に人手不足の中で叱って辞めてしまわれたらと思うとなかなか叱れない」とも。
同じようなことで悩んでいる経営者の方もいらっしゃるのでは。また会社でなくても色々なサークル、グループ内の人間関係でもよくおこることじゃないでしょうか。
私も、叱る方がいいのか、叱らずに諭す方がいいのか悩んでいた時期がありました。
(いまでも完ぺきとは言い難いですが・・・)
でも、自分なりのルールというか、自戒することはあります。
 

1.お互いにコミットメントしているか


コミットメント=約束。
叱られる方にしてみたら、その理由がはっきりして納得いくものであればまだしも、それがあいまいな場合「気分で叱ってる」ということになりがちです。
日常的に、また定例的に、お互いの仕事の内容、目標、期日、取り組むべき態度、仕事に対する考え方をまずはチームのトップが明確に指し示していることが大事です。
また、それはトップダウンで一方的に決められたものでなく、対話のなかでお互いに納得して作り上げたものであることも大切です。
これを明確にしないまま、自分の期待通りに相手が動いてくれていないからと言って叱ると、叱られた方も「前はそんなこといわなかったのに」になり「何を考えてるかわからない」になってしまいます。
トップが普段から言い続けている。スタッフもそれを納得して理解して、自分が自分で目標を設定している。だからこそ、スタッフ自身の原因で不都合を生じているのであれば叱られても納得するのではないでしょうか。
叱る前にまず、自分が普段からリーダーとしての責務をちゃんと果たしているかを振り返り、出来ていないのであれば、まず自らが変わらないといけません。
それがきちんとできている場合、「正しく叱る」のはとても大切なことだと思います。
 

2.小善は大悪に似たり

京セラフィロソフィ

京セラフィロソフィ

 
さて、リーダーがきちんとすべきことをしていて、そのうえでスタッフを叱らなければならない場面になった時、冒頭の私の友人の様に「叱ってもいいものかどうか」と迷う場面があるかと思います。
私が経営の勉強をさせて頂いている盛和塾では、塾長である稲盛和夫さんの言葉を考え方の規範としているのですが、その考え方をまとめられた「京セラフィロソフィ」という本の中に、まさにその考えに対する答えが書かれています。
「小善は大悪に似たり」という下りです。
 
以下引用


人間関係の基本は、愛情をもって接することにあります。しかし、それは盲目の愛であったり、溺愛であってはなりません。
上司と部下の関係でも、信念もなく部下に迎合する上司は、一見愛情深いように見えますが、結果として部下をダメにします。これを小善と言います。「小善は大悪に似たり」と言われますが、表面的な愛情は相手を不幸にします。逆に信念をもって厳しく指導する上司は、けむたいかもしれませんが、長い目で見れば部下を大きく成長させることになります。これが大善です。
真の愛情とは、どうあることが相手にとって本当に良いのかを厳しく見極めることなのです。

ここまで
これに続いて「大善は非情に似たり」という言葉についても稲盛さんは触れられています。
相手を本当に思って大善を行うことは一見すると薄情な行為に見える、ということです。
本当に相手のことを思っているからこそ、真剣に叱る。お世辞や適当な言葉でその場をつくろうのではなく(小善)直言することは大切なことだと思います。

3.大善を生かすために


 
しかし、私はもう一つ大切なことがあると考えています。
いくら、自分が「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」を実践しようとして、相手のことを思ってきつく????っても、それが相手に伝わらない。
逆に叱られたことに対して感情的なしこりが残る場合はどうすればいいのでしょうか。
いや、これも結構ありがちで、「自分は相手のことを思っているからこそこんなにきつく叱るんだ」といくら思っていても当の相手やその周りの人間にそれが伝わらない時は?
「俺が本当にお前を思っていてるのにそれが分からないお前は・・・」
なんてことにならないでしょうか。
逆に、きつく叱られた方も「自分でもそこがまずいと思っていてもそこまで言わなくても」ってな気分にならないでしょうか。
なるんですね。自分がそうでしたから(笑)
やはり普段からきちんとコミュニケーションが取れているから、きつく言われても叱った側の真意が伝わるのではないでしょうか。
また、普段からそれがとれていない相手を叱ったのであれば、やはりフォローが大切だと思うのです。
場を変えて、できれば二人で、あるいは少人数で酒でも飲みかわしながら、自分の真意を述べる。自分があのように話したのは本当にあなたに成長してほしいから、という思いを伝える。これがあると、相手の受容力が大幅にアップします。というか、このフォローアップが一番大切なように思います。
ええ、大切です。自分もそうでしたから(笑)

  • 普段からなすべきことや考え方を共有し
  • 相手がそれを誤ったら、見過ごさず、叱り
  • 真意が伝わってるかどうかフォローアップする

このステップがちゃんと踏めれば自分ももっと立派な経営者になれているのに
と最後は自省の念が沸き起こる今日のブログでした(^^;
 
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株式会社 リーフ 代表取締役 猪倉 厚
1級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
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株式会社リーフ(シャルドネ大阪南港)
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