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天然木オイル仕上にこだわる
ゴールデンウィークが始まった。当店の入居しているATC(アジア太平洋トレードセンター)やその近隣のインテックス大阪でも様々なイベントが開催され、周辺地区への来場者は非常に多い。
先の週末では来店予約してくださっていたお客様が駐車場満車で入庫待ち。軒並み1時間近く遅れられるということも。
ということで、公共交通機関の利用がお勧めです。
今回は、弊社の扱う家具に関するこだわりについてお話させて頂きます。
3つの約束
先日、店内に当社のコンセプトボードを貼りだした。
ざーっと描いたラフをきちんとポスターに製作してくれたスタッフに感謝。
自分一人では何もできません。
その3つの約束の1番目「天然木オイル仕上」
オイル仕上の木は呼吸ができる
かなり前のベストセラーだが、法隆寺の宮大工としても有名な西岡常一氏の「木のいのち木のこころ」
この著書にも書かれているが、木は伐採して建物の部材として使われても、呼吸し、生きていて、動きもする。
その動きを事前に読み取り、その木が生えていた時の方位まで考慮して、宮大工は木造建築を建てていた。
家具に使う木の場合もほんの少し前までは現在主流になっているようなウレタン塗装のような有機溶剤系の塗料は存在しなかった。
木の呼吸を止める事で木の動きを止める。
ある意味、作り手にとって(使い手に取ってもか)使い勝手の良いウレタン塗装は大量生産を要求される高度経済成長時代に飛躍的に増えた。
しかし、本来呼吸していた木はまさにその息の根を止められ、同じころに普及したホルマリン含有の速乾接着剤と共に、家具を「有毒ガスの発生装置」にしてしまった。
私が実家の家具小売店に戻ってきた30年近く前、夏場の暑い時期に最上階の3階の箪笥売場に行けば、充満する刺激臭で涙目になったものだ。
本来、木は家具として使われても呼吸する。湿気を吸ったり吐いたりする。
湿気を帯びるとふくらみ、乾燥すると収縮する。
年輪の模様がまっすぐになろうとする方向に反る。
そんなデメリットはあっても、はやり知ってほしい木の魅力はある。
室内空間で利用される家具(あるいはキッチンや建具、床材なども)だからこそ、手に触れ、においを嗅ぐことができる。
オイル仕上にすることで、ウレタン塗装のような塗膜を作らず、汚れの付着も防いだうえで木の呼吸を妨げない。
オイル仕上の木は自然の色つやが増す
当店でも人気のウォールナットの家具。
いつもお客様が来られるとその経年変化の違いをお話しする。
ウォールナットは最初は黒褐色だが空気に触れる(呼吸をする)ことで黒味がだんだんと抜けていき、赤みが増してくる。
7,8年も経つと同じ場所に置いているブラックチェリーと見分けが付かないぐらいだ。
色の変化だけでなく、本来、木が持ってる油脂がにじみ出てきて何とも言えない色つやが出てくる。
人工的に作り出した色つやではなく、自然の深みのある色つやは見ていて本当に飽きない。
実際に展示している家具の展示年数の違いと色つやの違いを説明すると、お客様の顔がだんだんと変わってくる。
だんだんと生きている木の魅力を理解していただけている様子を見るときが一番うれしいのだ。
オイル仕上の木は美人肌
触覚も人間のもつ五感の中で大切な要素だ。
当店のショールームには実際に住宅の新築リフォーム工事の際に使う天然木オイル仕上のフローリングを貼っている。
パインやウォールナット、バーチ材など、いろいろあるが、お客様には裸足で(靴下も脱いでいただいて)歩いていただくのをおススメする。
すると多くの人が「サラサラして気持ちいいですねー」とおっしゃっていただける。
現在の建築で多く使われている複合フローリングや天然木であってもウレタンコーティングしているフローリングだと、どうしても足裏の感覚が「ベタベタ」したものになってしますのだ。
いつぞや家の引き渡しを終えたお客様のところにお伺いしたとき、子供さんがパインのフローリングの上で気持ちよさそうに寝そべっていた。
子供さんの感覚は正直なものでコーティングされたものとの違いがやはり判るのだ。
家具に使った場合でもその肌触りのよさは同じで、サラサラと気持ちがいい。
香りだけでなく、この肌触りのよさも、大きなメリットだと思うのだ。
オイル仕上の木はメンテナンスできる
先日、当社でダイニングテーブルをご購入されたお客様が来店され、「買ったばかりなのに、重たいランプを上に落してへこんでしまって」と嘆かれていた。
ご近所だったので、当社の若いスタッフを走らせ、アイロンのスチームでへこみを復元して差し上げた。
ほとんどの方は初めて見られるとびっくりされる。
スタッフによるとこのお客様もびっくりされ、そして喜んでいただいたということだった。
オイル仕上の木は湿気を吸うことができる。湿気を吸うと木は膨張する。
昔から木造建築の文化があった日本では特に珍しい知識でもなく、少し以前の大工の棟梁は建築中に柱に傷が入っても、水分を含ませて元通りに復元される人が多くいた。
傷だけでなく、汚れの防止にも有効だ。
サインペンなどで落書きしてもメラミンスポンジなどで研磨すればすぐに汚れを落とせる。
もちろんオイル塗膜も剥がれるが、その上から再度オイルを塗ってあげればまた撥水性能も防汚性能も元通りになる。
完全に傷や汚れが元通りにならないことももちろんある。でも、長年使ううちにこれが味わいにもなる。
昔からある先人の知恵
オイル仕上というと、最近の技術かと思われるが、私たちの先輩は昔から木に脂分を擦り込んでメンテナンス性を良くすることは当たり前に行ってきた。
大きなお寺の本堂に行ったとき、その床がツルツルピカピカと輝いている光景を見たことはないだろうか。
当然昔は現在のような使い勝手の良いオイルはないが先人の知恵で生活から出てくる物質を再利用して木の保護に役立てていた。
それが「米ぬか」である。
大きなお寺の檀家の方々は米ぬかを布にくるんだ小袋を沢山作り、みんなで床を磨いていた。
米ぬかの脂分が床板にしみわたり、表面を保護して直接汚れが付着するのを防いでいた。
先輩たちはこうやって大切な木の建物を何世代にもわたって後世に引き継いできていたのである。
オイル仕上の木を使いこなす技
さて、そうはいっても、木は動く。反ったり割れたりもする。
そういう癖のある木を使いこなすにはそれなりの知見と技術が必要なのだ。
日本にはそういう知恵、技術が長年木工に携わってきた工場に蓄積されている。
次回はそのお話をさせて頂きたいと思う。
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株式会社 リーフ 代表取締役 猪倉 厚
1級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
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株式会社リーフ(シャルドネ大阪南港)
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