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高性能住宅とインテリアを考える


「家具から始める家づくり」リーフの猪倉です。

今回のブログのテーマは

高性能住宅とインテリアを考える

です。

別ブログで2回に渡り掲載していたものをこちらでまとめました。

家具と建築の双方からのアプローチです。

当社が現在取り組む高性能住宅がなぜ大切なのか。

それと「インテリア」がどう関係するのか。

一見すれば何の関係もないように見えるかもしれません。

でも、実はそこには深い深いつながりがあるんです。

自分自身の経験も踏まえてお話させていただこうと思います。

高山フィンユール邸(リビングルーム)

高山フィンユール邸(リビングルーム)

 


アメリカ西海岸ツアーで見たもの

今から30年近く前、まだ「バブル」が残っていた時代、私は建築設計事務所で実務経験を積んだのち、実家の経営する家具小売店に入社しました。いろいろと業界の勉強をしているうちに、ロスアンジェルスやサンフランシスコにある、家具インテリアの流通業界を視察に行くというツアーがあり、それに参加したときのことです。

当時すでに西海岸では大手量販の「IKEA」や家が一軒建つほどの建材を扱っているホームセンター「ホームデポ」を核テナントとしたインテリア専門の商業施設があったり、インテリアコーディネーターを同伴して家具をセレクトする「インテリアセンター」という業態があったりで、それはそれで大変、興味深いものでした。しかし、私の興味を引いた話は実はバスの中で主催者のコンサルタントの話だったのです。

「ここ、サンフランシスコでは、新築住宅はあまり流通していません。皆さん、中古住宅を購入されます。人気の街なのでなかなか物件も少なく、いい値段がします。」

「そうしてやっと物件を手に入れてからは、自分で住まいのメンテナンスを頻繁に行います。壁紙を張り替えたり、ペンキを塗り替えたり、壊れたら自分で修理したり。先ほど見てきたホームデポなんかで買ってくるんですね。」

「ところで皆さん、なぜそんなに熱心に手入れすると思います?自分が楽しむため?それもありますが一番の理由は、売却の時により高く売るためなんです。」

「日本では、新築でも10年もたてば建物の評価ってぐっと落ちますよね?でも、こちらでは丁寧に手入れされていれば、買った時よりも高い値段で売れるのは珍しくないことなんです。」

それから30年近くの時を経て、最近、その当時聞いた話が一気に自分の中で電流の様に流れてきました。

 


家の資産価値が下がらなければ家の予算はインテリアに向かう

いつも不思議に思っていたこと。日本と比べて所得水準が高いというわけでもない欧米諸国のインテリアがなぜ、あんなに充実しているのか。北欧やイタリアになぜ世界を代表するような家具ブランドが存在しているのか。日本ではなぜ、家を建てるのに精いっぱいでなかなか家具インテリアまで手が回らないのか。

その疑問が最近になって、この30年前の出来事を思い出し、すべてがつながるように理解できました。

「家の資産価値が落ちなければインテリアは充実してくる」のです。

少し考えれば当たり前のことです。30年もすれば建て替えが必要な家であれは、そのメンテ費用もかなりの多額になる。断熱気密に気を使われていない家だと年間の光熱費も高止まりする。いわば、生活費用の大部分を家を建てるときだけでなく、住んでからも取られてしまいます。

逆に、長期間にわたり使い続けることの出来る家をつくってしまえば、建てた世代がランニングコストの恩恵を受けるだけでなく、老後、都心のマンションに引っ越すために売却する時も大きな値下がりを防ぐことができます。

中古市場にこのような高性能住宅が出回るようになれば、初めて住宅を購入する人たちの選択肢にもなりえます。

良質でそのまた次の世代にまで引き継ぐことの出来る家に住んだ人たちは、多額の予算を建物本体に取られる事もなく、本来家族が暮らす空間であるインテリアやそれを構成する家具にきちんと予算を回すことができるはずです。


日本のインテリアの充実は〇〇年後!?

それを考えて、現在の日本の現状を振り返った時、まだまだ時間がかかることに暗澹とせざるを得ません。

国は2020年に新築住宅の省エネレベルを引き上げはしますが、それすら最低基準です。本当に中に住む人がヒートショックにならず、アトピーや喘息、アレルギーなどの原因になるハウスダストも少ない家にしようとするならば、最低でもZEH(ゼロエネルギー住宅)基準、できればHEAT20のG1、G2レベルの性能が必要です。

最初の時期こそ、イニシャルコストの増大がハードルを高めますが、一度そのような住宅が市場に出れば、次世代からは高性能住宅がリーズナブルな価格で中古市場で手に入るようになります。そうすれば自然と、家で過ごす時間が増え、家での時間を楽しむための家具やインテリアに人々の関心だけでなく、現実的な予算も多く振り向けられることになるでしょう。

そこまでになるにはどれほどの時間がかかるのか、憂鬱でもありますが、それでもいますぐにできる方策もあるはずなのです。

 


高性能住宅とは

耐震性能

話の前提になる高性能住宅とは何でしょうか。まず、その言葉から考えてい見ます。高性能と聞いて多くの方が思い浮かべるのが耐震性能ではないでしょうか。日本の建築基準法では何回耐震基準の見直しがされてきました。現在では震度6程度の地震でも倒壊しないレベル(耐震等級1)が事実上義務化されており、損壊もしないレベルの耐震等級3の住宅も増えてきました。

断熱性能

耐震性能に比べて立ち遅れているのが断熱性能。実は2020年に省エネ基準が義務化される予定だったのですが、なぜかしら見送りになりました、実は日本の断熱性能は欧米や韓国・中国と比べてもはるかに遅れています。日本の多くの住宅は英国などでは基準法違反になってしまいます。ヒートショックでなくなる方は交通事故による死亡者の約4倍もあるのです。ところが、耐震に目を向ける機会は多くても断熱性は案外と後回しにされてきました。断熱性能を高めるということは、長い期間で見ると光熱費の削減につながりお財布にも優しい、またそこに住むご家族の健康を守ります。大げさな話ですが、地球全体でみるとCO2の削減にも貢献し、地球温暖化による異常気象が頻発している状態から地球を守ってくれるのです。

気密性能

しかしどんなに性能のよい断熱材を分厚く入れたところで、隙間だらけの家では何の効果もありません。住宅の気密化は「息苦しくなる」など言われますが、じつは逆です。建築基準法では家の中の空気が2時間に1回入れ替わるように換気計画を義務づけていますが、隙間が多いと計画通りの換気ができなくなり、よどんだ空気がそのままになってしまうのです。この気密性能はC値という言葉で表され、1.0を切ることが目安となっています。(家全体の隙間がはがき1枚分ぐらいの大きさ)

インテリアと関わってくる高気密高断熱

このように、一口に高性能といっても様々な要素がありますが、こと、インテリアとの関連性でいうと、「高気密高断熱」が影響が大きいと考えています。それは、住宅の中でのご家族一人一人の行動と密接に関係するからです。以降はその考察を深めていきたいと思います。

 


各部屋の温度差が無くなる。

「高気密高断熱住宅」の一番の特徴は、「各部屋の温度差が無くなる」ことです。

従来の住宅では、リビングや寝室などの居室にエアコン、ストーブ、こたつなどと言った局所暖房の機器が据え付けられていました。居室はそれである程度の暖かさを確保できますが、ドアを開けて廊下や玄関先に出ると寒さが身に沁みます。

トイレや洗面室といった部屋も暖房がない場合が多く、真冬などは住宅の中でかなりの温度差を体験する羽目になっていました。

高性能住宅の場合、この温度差がほとんどなくなります。玄関から廊下、居室に至るまでほとんど同じ室温で暮らせます。

そうなると、部屋間の移動にもストレスを感じなくなるでしょう。こたつや床暖房のあるスペースにじっとしていたのが、お部屋のどの場所でも快適な空間になります。

例えば、子供部屋に閉じこもって勉強していた子供たちも広いダイニングテーブルで勉強することが苦にならなくなります。また、2階の廊下などを広くとってファミリースペースとして共用のデスクを設け、そこで勉強してもよくなりますね。

必然的にこたつなどの局所暖房の家具は少なくなっていくことでしょう。

高性能住宅が増えることで、住宅の中で場所の制約を受けなくなりますのでパーソナルスペース用だった家具がパブリックスペース向けに形を変えていくことがこれから増えていくのではないでしょうか。

 

アップライトチェア

最近人気の子供の姿勢を守る椅子「アップライトチェア」もパーソナルスペースからパブリックスペースへ移行する家具かもしれない。

 


オープンな間取りになる。

もう一つの特徴は、「オープン間取りになる」ということです。無断熱に近い住宅では、各部屋で仕切っておかないと暖房が聞かなかったのですが、高気密高断熱住宅はほぼワンルームに近い間取りも可能です。

そうなると、各部屋の見通しが良くなりご家族のコミュニケーションも良くなってきます。

キッチンもオープンキッチンが当たり前になり、奥様が家事をしながらリビングの旦那様とお話を、といった場面が増えてくるでしょう。

そうなると、キッチンやキッチン収納家具もインテリアの一部としての役割が増してきます。今まで以上に、家具インテリアとしてのキッチンのデザインが求めれれるでしょう。

リビング家具とコーディネートされたキッチンやキッチン収納家具が標準化されていくのではないかとおもいます。

 

オープン間取りになることでキッチンも家具化していく

 


家づくりとインテリアを同時進行で考える

しかし、いくらそのような変化が可能になっても家づくりとインテリアをバラバラで考えていては元も子もありませんね。

高性能住宅だからこそ、実現できるインテリアのレイアウトやデザインの選択などは、家づくりの初期の段階から並行して考えておく必要があります。

これから家づくりをお考えの方は是非、住宅とインテリアを総合的にアドバイスできる専門家、または会社を見つけてみてください。

失敗しない家づくりのために、ご参考になれば幸いです。

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*:..。o○ 家具から始める家づくり ○o。..:*
株式会社 リーフ 代表取締役 猪倉 厚
1級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
Facebook https://www.facebook.com/atsushi.ikura
株式会社リーフ
(シャルドネ大阪南港・アールプラスハウス大阪南港)
1級建築士事務所 大阪府知事(ロ)第22510号
宅地建物取引業  大阪府知事(1)第56790号
建設業      大阪府知事(般-25)第140355号
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