お問い合わせ
資料請求

blogスタッフが現場から日々更新

リーフの歴史⑦ ~設計事務所勤務時代~

「家具から始める家づくり」リーフの猪倉です。

リーフの歴史、前回からの続きです。

 

就職活動

 

大学院1回生の夏休み。中野にあった友人の下宿に転がり込み、2カ月の間エンドウプランニングに通った。当時、槇事務所が設計をしていたアルミサッシュメーカー大手のYKKの黒部市に建つ「前沢ガーデンハウス」の家具打合せが進行していた。

 

前沢ガーデンハウス

 

エンドウプランニングのOBであり、同じヒルサイドテラスで事務所を構えている家具デザイナーの藤江和子さんが書いたデザイン画を施工図に落とし込み、模型を作るのが僕の仕事だった。出来上がった模型を槇事務所に持っていき、槇先生にチェックしてもらった事などドキドキした経験だ。このあたりのいきさつはこちらのブログでも書いている。

 

施工図と模型を製作した藤江和子さんデザインのベンチ

さて、1回生も終わるに近づくにつれ、院生たちの就職先探しが始まる。ほとんどは、ゼミの先生が本人の希望を聞き、受け入れを表明している建設会社や設計事務所などに先生が成績などを考慮しつつ振り分けていくというやり方だった。卒業生の先輩方がゼミを訪れ、来春の採用人数枠などを伝えに来ていた。よほど、就職先にこだわらない限り、なにがしかの受け入れ先は保証されていた。

今から思えば、良き時代だった。

私自身は、まだ実家の家具店を引き継ぐかどうかの決心がつかず、先生からのあっせんも断っていた。そして、時間はあっという間に過ぎ、あと数ヶ月で卒業という時、実家を継ぐにしてももう少し建築の実務を積みたい、それも東京で仕事をしたいと思った。

いきなり遠藤先生に電話を入れた。

「来春からそちらで働きたいのですが。。」

「あ、猪倉君か、いいよ。」

こうしてあっけないほど簡単にエンドウプランニングでの就職が決まった。

 

オーダーキッチンの設計

 

入所して最初に与えられた仕事は、代官山の近くに立つある大手企業の社長自邸のキッチンだった。自分にキッチン設計の経験があるはずもなく、事務所の先輩たちが残していった過去の図面、施工図を引っ張り出しながら設計していった。天板がステンレスのL字タイプで搬入経路にも気を使わねばならない現場だ。

建物全体の施工は大林組が受け持っていて、定期的に行われる打合せに参加。色々な業者の段取りを調整しながら工程を進めていく現場監督さんの姿を見て、なんとストレスのたまる仕事だろうと感心していた。

 

社内コンペ

 

大磯の海岸

 

夏のころ、社内コンペが行われた。ある商社の会長が神奈川県大磯に建てる別荘だった。

この商社はドイツのデュッセルドルフで「江戸」という日本レストランも経営していて、その設計がエンドウプランニングに依頼されていた。先輩たちがドイツ語辞書と首っ引きで図面を書き、私は、日本庭園の模型と屋外看板のデザインをしていた。

社内コンペでは、私と事務所の先輩2人が参加。それぞれにプランとスケッチパースを1週間ほどでまとめ、提出した。遠藤さんが、施主さんのところに3案を持って行ったところ、なんと私の案が採用されたということだった。

入所して最初の仕事と同じく、別荘とはいえ住宅の設計、それも確認申請や矩計の施工図まで書くのは初めての経験だった。事務所の先輩に聞いても、「ほかの人の書いた図面あるからそれ見て書いたらいいよ」てな感じで教えてはくれない。昔の図面を引っ張り出し、何とか書き上げた。

当時の時代の事なのでまだCADはあるはずもなく、両端にワイヤーが貼られた平行定規と三角定規とで、トレーシングペーパーの製図用紙に線を引く。週に半分は、製図台の下に新聞紙を引き、仮眠をとりながら徹夜で書き上げた。

今でこそ確認申請は民間の検査会社が請け負っているが当時は自治体の建築課が窓口だった。何回も大磯町役場へ通い、若手の担当者と折衝を重ねた。

ついに工事が始まり、色々なトラブルに遭遇しながらもなんとか引渡を翌日に控えたある日、事務所の先輩からこういわれた。

「猪倉君、明日になったら、建物はお施主さんのものだ。今から現場に行って、自分でもう一度すべて掃除してこい。そして一晩過ごしてきなさい。」

言われるがまま、掃除道具を車に積み込み大磯の現場に向かった。雑巾を絞り、床を丁寧に雑巾がけしていった。そうすると、立ち姿勢では見えてなかった細かいところの不備や汚れ、手直しヵ所が見えてきた。実際に手で触れることでささくれや傷も発見できた。そうか、こういうことだったのか。先輩が掃除を命じた訳が分かった。

大きな吹き抜けのあるリビングで段ボールを敷いた上に寝転がり、夜を過ごした。自分が引いた線が形になり、今自分がその空間に包まれていることが何とも不思議だった。夜も更けたころ、「ピシッ」と音が鳴る。柱だか梁にひびが入る音だった。

「木が生きている」

と思った。

 

続く

*****************************

 

 

 

 

*:..。o○ 家具から始める家づくり ○o。..:*
株式会社 リーフ 代表取締役 猪倉 厚
1級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
Facebook https://www.facebook.com/atsushi.ikura
株式会社リーフ
(シャルドネ大阪南港・アールプラスハウス大阪南港)
1級建築士事務所 大阪府知事(ロ)第22510号
宅地建物取引業  大阪府知事(1)第56790号
建設業      大阪府知事(般-25)第140355号
〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10ATCビルITM棟5階
TEL 06(6613)6311 FAX 06(6613)6313
******************************

  |  一覧へ  |  

CATEGORY