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リーフの歴史① ~枯木灘の大叔父達~


「家具から始める家づくり」リーフの猪倉です。
少し前のブログでお話してた経営計画書の作成セミナー
一番冒頭に書くのが自分自身の事業に対する思いと未来への展望。
セミナー講師の先生は
「お世話になった方も思い出して書くのです。どういう道筋をたどって今自分がここに立っているか、どこへ向かおうとするかを一度分文書化するのです。」と言われていました。
今の自分の思考や物事を決める判断基準は全て今までの経験の蓄積に基づいて成り立っている。
そう思えば、今までの自分の軌跡を一度きちんと文章化しておくことはとても大切なことだと思います。
そこで、このブログの場をお借りしてしばらく、今までの経緯、今自分が何を考えているか、これから作っていきたい住宅、インテリア、家具の未来について書き留めていこうと思います。

枯木灘の大叔父達

枯木灘に沈む夕陽

わが社の事業の原点は昭和23年に私の祖父である猪倉勇助が大阪市西成区山王に木工所「マルイ木工」を設立したことから始まります。
その話はおいおいするとして、今回は祖父が大阪に出てくる前の話をしたいと思います。祖父の出身地は和歌山県串本町和深。枯木灘と言われるとても男性的な光景が印象的な海岸線沿いの集落です。
かなり以前に「ルーツ」という米国製作のテレビドラマが流行ったことがありました。黒人のアメリカ国民が、自分のルーツを手繰るお話です。それに影響を受けた私の父は「猪倉家」の源流をたどったようです。
詳しい経緯は亡くなった父から聞けなかったのですが、結果として、現在の兵庫県の丹波篠山地方の出身だったのではというところまでは分かったらしい。
和歌山は結構平家の落ち武者伝説が残っているところなので、祖先が何らかの理由で篠山からはるか紀伊半島の奥地まで逃れてきたのかもしれません。
串本では半農半漁が生活の糧であったと聞きますが、潜水漁も盛んで、明治時代には多くの串本の潜水漁の漁民が太平洋を南にわたり、オーストラリア北方海域にある木曜島で、真珠貝の採取に貢献したということです。

2011年に串本で開催された木曜島資料展にて

当時、洋服のボタンの材料として重宝されていた真珠貝の貝殻は船から送気管でつながれた潜水夫が海底に降り立ち採取するのですが、危険な業務でもありました。その中でも日本人の、串本出身の潜水夫は大変優秀で、現地では非常に重宝されたということです。
その漁で財をなし、串本に帰ってから建てた大きな家屋敷は「真珠御殿」と言われたといいます。
私の祖父の弟、2人もその真珠貝ダイバーで、大正期にオーストラリアに渡っていたようですが、そのうちの一人は現地を襲った暴風雨で発生した大量遭難の犠牲者の一人になってしましました。
もう一人は、生きながらえ、財を成し、当時、日本の南洋庁のあったパラオに会社を設立。かなりの成功を収めたようで、亡くなった父などはよく「たまに日本に帰ってきたときにおもちゃを買ってくれるのが楽しみだった」と述懐していました。
その大叔父も、戦争が激しくなるにつれ、自身の船を日本海軍に徴用され、運搬船として現在のビキニ環礁の周辺で物資運搬に当たっていたところ、アメリカ軍の艦載機の攻撃にあって亡くなったということでした。

「船長 猪倉 雄蔵」が祖父の弟

戦争中の話は祖父も父もあまりすることはなかったのですが、木工職人だった祖父は木製のプロペラを作っていたとも聞きました。また、大阪の空襲がひどくなるにつれ父の兄弟姉妹は田舎である串本に疎開したのですが、小学校卒業を控えていた父は大阪に残っています。
そして、明日が小学校の卒業式だというその晩、大阪大空襲に見舞われます。
きっと大変な思いをしたはずの父と祖父でしたが何度聞いても大阪大空襲時の話題は首を横に振って語ることはありませんでした。きっと、筆舌に尽くしがたい光景を見てきたのでしょう。
疎開していた父の兄弟姉妹たちも串本にまで飛んでくるアメリカの艦載機の機銃掃射や、艦砲射撃に見舞われ、現在のJR紀勢線のトンネルに隠れていたことを話してくれました。
そして、ようやく戦争が終わり、まだまだ周りが焼け野原であった昭和23年に、当時すでに40代になろうとしていた祖父が立ち上げたのが「マルイ木工」当時まだ珍しかったソファの木製フレームを製作する工場でした。

「リーフの歴史② ~てんのじ村~」へ続く
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株式会社 リーフ 代表取締役 猪倉 厚
1級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
Facebook https://www.facebook.com/atsushi.ikura
株式会社リーフ
(シャルドネ大阪南港・アールプラスハウス大阪南港)
1級建築士事務所 大阪府知事(ロ)第22510号
宅地建物取引業  大阪府知事(1)第56790号
建設業      大阪府知事(般-25)第140355号
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